女性の薄毛(FAGA)治療においても、ミノキシジル外用薬は有効な選択肢の一つです。しかし、女性がミノキシジルを使用する場合、男性以上に「多毛症」のリスクについて、慎重に考える必要があります。なぜなら、女性にとって体毛が濃くなるという副作用は、薄毛そのものと同じくらい、あるいはそれ以上に深刻な美容上の悩みとなり得るからです。女性の場合、ミノキシジル治療は、主に1%や2%といった、男性用よりも低濃度の外用薬(塗り薬)から始めるのが一般的です。外用薬は、成分の全身への吸収が少ないため、内服薬に比べて多毛症のリスクは低いとされています。しかし、それでも体質によっては、顔の産毛が濃くなったり、もみあげや口周りの毛が目立つようになったりといった症状が現れることがあります。特に、顔に塗布する際には、液だれに注意が必要です。額に塗った薬剤が、汗などで垂れて眉毛や頬についてしまうと、その部分の毛が濃くなる原因となり得ます。洗顔後、清潔で乾いた状態の頭皮に塗布し、しっかりと乾かすことが大切です。一方で、日本では女性のAGA治療薬として承認されていませんが、一部のクリニックでは、医師の厳格な管理のもとで、低用量のミノキシジル内服薬が処方されることがあります。内服薬は高い発毛効果が期待できる反面、多毛症のリスクも格段に高まります。腕や足、背中といった広範囲の体毛が濃くなる可能性があり、その程度も外用薬より強く現れる傾向があります。治療を始める前には、医師から、どの程度の多毛症が、どのくらいの確率で起こりうるのか、詳細な説明を受ける必要があります。そして、もし多毛症が発症した場合に、それを許容できるのか、あるいはムダ毛処理の手間とコストをかけてでも発毛効果を優先したいのか、自分自身の価値観と向き合うことが求められます。女性のミノキシジル治療は、髪を取るか、ムダ毛の悩みを避けるか、というデリケートな天秤にかける判断が伴うのです。