ミノキシジルには、錠剤を飲む「内服薬(ミノキシジルタブレット)」と、液体を頭皮に塗る「外用薬」の二つのタイプがあります。どちらも同じミノキシジルを有効成分としていますが、多毛症という副作用のリスクに関しては、両者の間に大きな違いが存在します。結論から言うと、多毛症のリスクは、内服薬の方が外用薬に比べて格段に高くなります。その理由は、有効成分の体内への吸収と、作用範囲の違いにあります。内服薬の場合、服用したミノキシジルの成分は、消化管から吸収されて血液中に入り、血流に乗って全身を巡ります。そのため、その血管拡張作用や毛母細胞を活性化させる作用は、頭皮だけでなく、腕や足、顔、背中といった、全身の毛根に及びます。この全身への作用こそが、強力な発毛効果の源泉であると同時に、多毛症という副作用の直接的な原因となるのです。一方、外用薬は、有効成分を頭皮に直接塗布するため、その作用は基本的に局所的です。成分が全身の血中に吸収される量は、用法・用量を守っていればごくわずかであり、内服薬のように全身の血圧に大きな影響を与えたり、全身の毛根を強く刺激したりする可能性は極めて低いとされています。そのため、外用薬の使用で多毛症が起こる頻度は、内服薬に比べて非常に稀です。ただし、リスクがゼロというわけではありません。頭皮に傷や炎症がある場合や、規定の量を超えて過剰に塗布した場合などには、通常よりも多くの成分が血中に吸収され、軽度の多毛症を引き起こす可能性は否定できません。また、体質によっては、ごく微量の吸収でも反応してしまう方もいるかもしれません。強力な発毛効果を求めて内服薬を選ぶか、安全性を優先して外用薬を選ぶか。多毛症のリスクは、その選択を考える上での、重要な判断材料の一つとなるでしょう。