自分の髪の毛に異変を感じ始めたのは大学を卒業して社会人一年目になったばかりの二十歳の夏でしたが、当時の私にとって20代でハゲるということは想像もできない悪夢であり、鏡を見るたびに広くなっていくおでこや、シャンプーのたびに手に絡みつく大量の抜け毛を見ては、深い絶望感に打ちひしがれる毎日を送っていました。ネットで調べると20代のAGA発症率は約十パーセント程度と書かれており、なぜ自分がその少数派に入ってしまったのかという理不尽さと、これから始まる長い人生を薄毛というコンプレックスを抱えたまま過ごさなければならないのかという不安で、夜も眠れないほど悩み抜きました。同期の友人たちが新しい髪型を楽しんだりファッションに興じたりしている中で、私はどうすれば地肌を隠せるか、風が吹いたときにどうすれば不自然に見えないかばかりを気にして、仕事の会議でも他人の視線が頭頂部に集中しているような気がして集中できず、本来の自分らしさを完全に見失っていました。当時の私は、AGA治療は高額で怪しいものだという偏見を持っており、最初は安価な育毛トニックやサプリメントで誤魔化そうとしましたが、それらは進行を止める力はなく、無情にも時間は過ぎて薄毛の範囲は確実に広がっていきました。しかし、ある日意を決して受診した専門クリニックの医師から「20代の発症は決して珍しいことではなく、むしろこの時期に正しい医学的治療を始めることこそが、十年後のあなたを救う唯一の手段だ」と力強く諭されたことで、私の心はスッと軽くなりました。それから始まったフィナステリドの服用とミノキシジルの外用という治療生活は、思っていたよりもずっとシンプルで、毎日の習慣にするだけで数ヶ月後にはあんなに恐れていた抜け毛がピタリと止まり、半年を過ぎる頃には失われていた産毛が太い毛へと成長していくのを実感できました。あの時、発症率の低さに絶望して諦めるのではなく、現実を直視して早期対策に踏み切った自分を今では心から褒めてあげたいと思っています。20代でAGAを発症するということは確かに辛い経験ですが、それをきっかけに自分の体と向き合い、科学的なエビデンスに基づいた解決策を選択する賢さを身につけたことは、その後の人生における自信へと繋がりました。今、もし鏡の前で一人で悩んでいる20代の方がいるなら、あなたは決して一人ではなく、十人に一人の仲間が同じように戦っていることを忘れないでほしいですし、医学の力は想像以上に強力で、あなたの若々しさを守る準備ができていることを伝えたいです。薄毛は隠すものではなく治すものだという新しい常識を、一人でも多くの同世代が受け入れ、晴れやかな気持ちで20代という最高の時間を謳歌できることを願ってやみません。
若年層に広がる薄毛の悩みと向き合う日々